「ハァ…」とため息を吐いてから、未だに泣きじゃくるあゆの頭にポンと軽く手を乗せた。
「ごめんな、あゆ…。
その約束は、守ってやれない」
そもそもそんな約束したかどうかも覚えてないしな―――…。
「ど、どうして?
彼女がいるから?
でもね、まだどうなるかはわからないでしょ?」
「う~ん…」
そうだよな。
一般的に考えると、俺はまだ二十歳になったそこそこの人間で、社会にも出てない。
そんな俺には結婚なんてものはまだまだ先のことかもしれない。
だけど―――…
「俺、今の彼女と結婚する気でいるから」
「―――え…? うそ…」
「本当。それぐらい想ってる女だから」
今まで派手すぎる女関係を送っていた俺を知ってる奴だったら、『何を言ってるんだ』と思われるかもしれない。
だけど、これだけは自信がある。
俺は、茅乃以外の女を好きになることなんてできないんだ。
俺が嫉妬や独占欲を持つのは、茅乃ただ一人にだけだから。
こんなこと、絶対に死んでも茅乃には言えないけどな。
というか、絶対に言わねぇ。
「―――圭史くん…。
でも、あゆも!
あゆも負けないぐらい圭史くんのこと好きだもん!」
「そう言ってくれるのはありがたいけど―――…。
ごめんな、俺、あゆのことは大切な従兄妹としか思えない」


