「そんなに明日のことが気になるか?」


「へっ!?」





 ボ~っと考えながら、カレンダーを見ていたあたしの耳に聞こえてきた地を這うような低い声に、あたしの体がビクッと反応する。


「そうかそうか。

茅乃はそんなに明日が楽しみか~…」


「いやいやいや…」





 腕を組み、深く頷いている奴に思わず否定の言葉を告げると、ジロリと睨まれる。


 その睨みに、メデューサに睨まれたように固まってしまうあたし。


 こ、怖いんですけど~…。





「お前…、

せっかく俺が作ってやった明日の貴重な休みを断ろうなんて思ってないだろうな」





 思ってます………。





 心の中で素早くこたえるものの、口に出していう度胸はどこにもなく、ただ黙りこむ。


 だけど、それは肯定とも取れる態度だということを、目の前で怒りのオーラを放つ奴を見てから気づいた。


「あ、え、えっと…」


「ほぉ~…。いい度胸じゃねぇか」





 こ、怖いっ!!


 メラメラと奴の後ろからどす黒いオーラのようなものを感じて、あたしはただ口をぱくぱくとさせるばかり。


「明日は、どこか遠くにでも遊びに連れてってやろうかと思ってたが、計画変更だ」


「へ?」