「あのさ…、さっき研究室にいた女の人――…」
だけど、自分のあの時の感情なんてものは自分でもよくわかっていなかったのだから、話すことなんてできなくて、あたしは気になったことを聞くことにした。
「女? あ~…、稲垣(いながき)?」
どうやら、さっきのあの綺麗な女性は稲垣さんと言うらしい。
「う、うん。その稲垣さん……」
あたしはチラリと運転している圭くんの顔を窺うように視線を送る。
「圭くんのこと、好きだよね?」
あたしの質問に、笑い飛ばすか、冷たい視線を向けてくることを予想していたあたし。
だけど、圭くんは一瞬眉を顰めただけで、「あ~…」と声を出す。
そして、なんと!?
「そうだな…」
と、何事もなくさらりと肯定してくれた。
「え…?」
その圭くんの答えに、逆に狼狽えてしまったのはあたしのほうだった。
「し、知ってたの!?」
そりゃ、わずかな時間しかいなかったあたしが気づいたぐらいだから、圭くんが気づいていても不思議ではない。
「ああ。告白されたからな」
「こ、告白されたの!?」
「ああ。一週間前な」


