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「お前さ…。さっきから、何、ムスッとしてんだよ」
「べ、別に…」
なにさなにさ。
一体、誰のせいでこの複雑な想いを胸に抱えていると思ってるんだ!
圭くんはあたしの答えたのが気に食わなかったのか、運転しながらもチラリとあたしを一瞥してくる。
「何もないなら、そんな不機嫌丸出しの顔するな。大体な、お前はすぐに思ったことが顔に出るんだよ。だから、『別に』って取り繕ったところで、バレバレなんだよ」
な、なんだと~!?
「そ、そんなことないもん! 学校ではあたし、『クールビューティー』って呼ばれてるんだからね! そんな思ったことを、すぐに顔に出してるわけじゃないもん!」
売り言葉に買い言葉とはこのこと。
真澄に影でそう呼ばれていると聞いてから、心底嫌がっていた自分の別名を、たとえ言い返すためとはいえ、口に出してしまうとは――…
「・・・クールビューティー? え? お前が?」
運転していたから、目線はずっと前を見据えたまま、圭くんは笑いだす。
あ~!!
もう!
笑われるってわかってるのに、どうしてあたしは口に出しちゃうかな~…
「そ、そりゃ、あたしだって、その呼び方には疑問はあるけど……」
「『あるけど』って、お前がわざわざ口に出したんだろ?」
なんで、圭くんはこう触れて欲しくない、さらっと流して欲しいことを突いて来るかな?
口に出して失敗したと思っているのは指摘されるまでもなく、あたし自身なんだから!
そこは年上の懐の深さでスルーするっていうのが優しさでしょうが!
「―――で?」


