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「よし、書いたか?」
「―――は、はい…」
やり終えた今も、あたしはどうして今自分がこうしているのかわかっていない。
だけど、なんとかやり終えた感でホッと息を吐いたところに、「おいっ!」と呼ぶ声が聞こえてきた。
その声に答えたのはもちろん、圭くん。
「―――なんだよ…」
不機嫌勘丸出しの顔で、圭くんは声をかけてきた男の人に視線を向ける。
その人は、圭くんにやたらと聞いていた男の人だった。
「お前…、きちんと説明しろよ!」
「説明ならしただろ? こいつは俺の彼女。ちょうどいいから、手伝わそうと思って連れてきたんだよ」
「えっ!? そうだったの!?」
それにはあたしのほうがびっくりして聞き返す。
もしかして、メールを送ったことで、『こいつに手伝わせればいいや』って思ったとかじゃないよね?
「―――というわけで、俺の分、終わったから」
話ながらも、てきぱきと手を動かしていたらしい圭くんは、すでに広げていたレポート用紙やら本やらを片付け終わっていた。
そして、フッと笑うと、目の前の男の人にあたしがさっき圭くんに言われて書いた紙を渡す。
「終わったことだし、俺は先に帰らせてもらうな。それじゃ」
それだけ言うと、圭くんは軽く肩手を挙げて、その場を去ろうとする。
もちろん、あたしの手を掴んで引っ張って行きながら……


