「ママ…。いつか、怪我するよ」
「あら、それは困るわ」
「それなら、あたしの言うこと、ちゃんと聞いて。高いところの物を取る時は、ちゃんとした動かないものを使うこと! これ、基本だからね」
「もう~…。それぐらい、わかってるって。今日は、偶々よ」
偶々でも、普通は危ないってわかるから、そういうものを使わないよ。
それなのに、ママは使っちゃうんだもん。
いくら、『わかってる』って言ったところで、説得力0なんだから。
「全くもう……。ところで、土鍋なんてわざわざ取り出して、どうするつもりだったの?」
「うん? 今日は、少し寒いじゃない。だから、お鍋にしようと思って」
「ふ~ん」
軽く相槌を打ちながら、あたしは、また、ママがこの不安定な椅子を脚立代わりにしないように、元あった位置へと椅子を戻す。
このまま放置してたら、また、使っちゃうかもしれないから、さっさと片付けてしまおう。
そうして、あたしは椅子を戻した。
そして、振り返ると―――…
「ママ! 何、してるの?」
なんで、あたしの携帯を持ってるわけ!?
「何してるの?って、ママのほうが聞きたいんだけど…」
「はあ!?」
聞きたいって、なんで?
「茅乃ったら、メール作成しちゃってるなら、さっさと送信しなくちゃ。圭くんも、待ってるわよ?」
「よ、余計なお世話!」
大体ね、そのメールは消去するつもりのメールだったし、そもそも、その途中であたしを呼んだのは、何を隠そうママ本人じゃないか!
一体、どの口がそんなことを言うの!?
ママから携帯を奪い返したと共に携帯の画面を見たあたしは眉を顰めた。


