「ごめん。よく聞こえなかったんだけど………」
本当に聞こえなかったから、そう言ったんだけど、なぜか圭くんはあたしのことを目だけで射殺せそうなぐらいの目で見てくる。
そのあまりの目力にあたしはビクッと体を震わせた。
え?
何?
あたし、何か圭くんの地雷を踏むようなこと言った?
ただ、何か言ってたけど、それが聞こえなかったって言っただけだよ?
「茅乃・・・。お前、俺にもう一度言わせようということか?」
威圧感丸出しの圭くんに、あたしは顔を硬直させた状態で、プルプルプルと首を横に振る。
「め、滅相もございません!」
敬礼ポーズで圭くんに宣言すると、圭くんはハァ~…と徐にため息を吐く。
「まあ、いい…」
え?
いいの?
「だけどな…。これを聞いたら、もういろいろと気にしたりするなよ」
んん?
首を傾げながらも、あたしはよくわからないままに頷いた。
すると、圭くんはそっとあたしの耳元に近づいて囁いた。
「心も欲しいと思ったのは、茅乃だけだ」


