「ちょ、ちょっと!」


「ほ~…」





 携帯に目を向けてから、目を細めてあたしを見てくる圭くん。


 その目には、何もかもわかったと言っているように見えた。


 なんとなく、あたしはツゥ~…と圭くんの視線から自分の目を逸らす。


「おばさんがダメだったから、次はおじさんというわけか………」


「えっと~…。一応、パパにも報告は必要かなって………。うちの家の家長は、ママじゃなくて、パパだし!」





 ほとんど言い訳だったのに、言っているうちに正しいことを言っているような気がして、あたしは自信満々に圭くんにそう告げる。


 あたし、間違ったこと言ってないよね?


 だって、うちの家長は、間違いなくパパだし。


「―――ふ~ん…」





 なのに、なぜか冷たい空気を感じるあたし。


 その声の低さに、怖くて圭くんの顔が見れない。


 視線を逸らしたまま、あたしと圭くんの間に沈黙が流れる。


 だけど、なんとなくその間にも無言の圧力をあたしはひしひしと感じていて………





「却下だな」





 長い沈黙の中で、その沈黙を破ったのは圭くんのはっきりとした声だった。


「んなっ!?」