「杏花、この水ちょっとでいいから飲んでくれるか?」
「え?」
「いいか?」
「ん?……うん」
杏花はポカンとした表情で水を口にした。
俺もまた水を口に含んで…。
ここの水は恋人や夫婦で飲むと永遠に別れないと言う逸話がある。
俺は以前、この話を聞いた時に…
“いつか好きな女が出来たら…”
……そう思っていた。
そして今まさに俺の夢が……。
「要、この水美味しいね?」
「あぁ、ホントだな」
杏花は笑顔を俺に向けて来る。
杏花の笑顔と言葉を胸に刻み、
この水の味を俺は一生忘れない。
俺らはトレビの泉を後にして、
……スペイン広場へと向かった。
杏花は相変わらず辺りをキョロキョロ。
立ち並ぶ数々のショップに目が釘づけ。



