「コレは“トスカーナバイオレット”って名前で、生食用。果肉がぶどうのように柔らかくて、アントシアニンが豊富だって」


俺は売り場の説明書きを読んでやる。


「じゃあ、疲れ目に良いんだわ。ここ、フィレンツェのご当地物ね?」


杏花は茶色のような…紫のような色のトスカーナバイオレットを手に取り、


何やら辺りをキョロキョロ。


ん?んん??何したいんだ?


「どうした?杏花」


「要、コレってどうやって買うの?ってか、コレいくら?」


あっ、……なるほどな。


杏花はシステムを知らない。


「コレはな…、この袋に入れて、この番号を覚える」


俺は売り場の番号を指差し…


更に、辺りを見渡す。


「あっ、アレアレ…」


杏花を連れ、機械の前に。


「さっきの売り場で覚えた番号を押して、ここに商品を置く」


杏花は興味深々に覗き込んで…


「で、出て来たこのシールを袋に貼ってレジへ。分かったか?」


「うん!!スゴ―――――い!!」


杏花は袋を握りしめ、ピョンピョン跳ねてる。