2人組の女が俺らの方に手を振り始めた。
それを見た杏花は、俯いて…黙ってしまった。
別に気にする事なんて何もないのに。
…………可愛いヤツ。
そんな杏花にそっと手を伸ばし掛けると…
2人組の女が急に声を掛けて来た。
杏花はさらに肩を落として…
そんな杏花を気遣って、俺は冷たく用件を聞く。
話し終ると…俯いていた杏花が少し顔を上げた。
何て言われたのか気にしてるんだろうな?
さて、何て言おうか…。
俺は2人組の女に…妻に確認すると告げて。
「か……な…めっ?」
「ん?」
「何て?」
杏花は今にも泣きそうなくらい瞳を潤ませていた。
今日は大人しく良い娘にしてたし、素直に言うか。
「あのな?」
「…………うん」
杏花はゴクリと唾を飲み込んだ。



