杏花は俺に迷惑を掛けてしまったと、急にしおらしくなった。


俺は“コーヒーが飲みたい”という事にして…


オシャレなカフェに入った。


カフェに入ったは良いが、店員の眼つきが気に入らねぇ。


俺の正面に腰を下ろしたが、俺は杏花の隣りに座り直す。


周りの男連中を目で威嚇しながら…。





あ゛―――――、“杏花を甘やかすツアー”が


“俺がイライラするツアー”になってんじゃねぇか。


はぁ……。


俺はそんな事を考えながら…


熱いコーヒーを口にした。



「要、ごめんね?」


「ん?」


「ホント、ごめんね?」


「あぁ」


「ホントに本当にごめんね?」


「…………あぁ」


俺は優しく答えてやりたいのに、


出てくる言葉は…冷たいセリフ。


ホント…自分の心が狭すぎて……情けない。