俺らの席は“プラテア”と呼ばれる…
ステージ正面にあるアリーナ席。
演目は『ロミオとジュリエット』
オペラ初心者の杏花でも分かるように。
本当は野外オペラを観させてやりたかったが、
次回の楽しみに取っておくのも一興だろう。
杏花は終始興奮状態。
俺の手をギュッと握りしめては、
「あっ!!……―――ふぅ~~」
声が洩れてるぞ??
フフッ……マジで可愛いよな。
杏花を見てるだけで心が満たされる。
これだけ楽しんで貰えれば、
このイタリア旅行……大成功だろ。
オペラを観終わり、ホテルへ戻った。
何故……レストランで食事をしないかって?
そりゃあ、決まってんだろ。
オペラに魅了された杏花が、
蕩けきった恍惚の表情で俺に凭れてる。
艶っぽい表情の杏花をこれ以上、野獣の目に晒したくないだけだ。
俺だけに見せていい顔だからな。



