意図が掴めず首を傾げる。
「なんか難しそうな顔したから。」
それは理性と格闘してたから。
「これは一種の照れ隠しです。」
「なんだ、そっか。良かったぁ。じゃあ帰ろうか。」
「そうですね。」
もし今、俺が告白したら…
きっと先輩は本気にしてくれないんだろうな。
笑って誤魔化すか、
その意味すら理解してもらえないか。
どっちにしろ残されるのは惨めな自分か。
「早坂くん?」
「……え?」
「僕の顔に何がついてる?」
どうやら隣を歩く先輩を、無意識のうちに見つめてしまっていたらしい。
「髪にゴミが」
本当は何もないけれど、ゴミを取る振りをして髪に触れる。
細くて艶のある黒髪。
柔らかい。
思わず梳きたくなるような髪だ。


