「俺は知ってたっすよ。」
「なんだぁ。じゃあ、やっぱり友達?」
「いえ、一方的に俺が知ってただけっすよ。」
宮塚と関わった記憶はないはずなのに。
なぜコイツが俺のことを知ってるんだ?
ってそんな事よりも……
さっきから先輩と宮塚の距離が近い――!
「先輩、こんなもんすかね?」
「うーん…もうちょっとかな。」
顔をつき合わせて互いに試験管を見ている。
なんか、俺……
心狭くなった?
「なーに?」
無意識のうちに宮塚を睨んでいたらしい。
不機嫌そうに宮塚が睨み返してくる。
「…いや、何でもない。」
我ながらガキっぽい。
やりとりの最中、スッと指先が伸びてきて、俺の眉間を突っついた。
「不機嫌そうな顔してるよ。」
クスクスと笑う先輩の指先だった。
「そうですか?」
「うん。いつもの優しそうな顔はどうしたの?」
「…優しい、ですか?」
「優しいよ。あ、時々意地悪い笑い方するけど」
こうして先輩が構ってくれるだけで、俺は簡単に機嫌が直る。
単純な男だな、俺も。


