「その部長って止めてよ。部員は僕と早坂くんしか居ないんだからさ。」


この部活が廃部同然と言われるのは、この人数の少なさ。
俺が入部しなければ、本当に廃部だったらしい。


「じゃあ佐崎先輩。今日は何するんです?」


中に入り、鞄を置く。
佐崎先輩は三角フラスコを大事そうに磨いていた。


「今日は道具の掃除しようかなって。」
「じゃあ俺はあっちの棚の分やりますね。」
「お願いするよ。」


棚の中から試験管を引っ張り出して、白い布で磨く。

その間に、ちらっと佐崎先輩を盗み見る。

ただ磨くだけで、あんな楽しそうに……。

あ、こっち気付いた。


「どうかした?」
「いえ、この汚れ落ちないなって」
「どれどれ?」