【完】恋愛コンプレックス




「妃稲ちゃん、出ていっちゃったよ?」



「...うるさい。」



金森君はもう窓の外は見ていなかった。


その黒々とした瞳に私を映し出している。



「はあ...本当に変わってねえな、妃稲は。」


「...?」



金森君のしゃべり方が一変した。


にやりと口角を上げるとその腕に私を閉じ込める。



「お察しのとおり、正真正銘。金森裕哉だよ。妃稲...。」



時がとまって見えた。


ううん、本当にとまっていた。



音のない世界。


色のない教室...。



幻想的でめまいがしそう.....