【完】恋愛コンプレックス




分からない。


似ている…。



似すぎてる。


「妃稲ちゃん、俺、この学校よく分からないから校内教えてくれる?」


「…いや。」



お弁当を京香と食べている最中に来た金森裕哉…。


「は…?妃稲、可哀想でしょ。してあげなさいよ。」


だって……


「……じゃあ京香がすればいいでしょ。」


「意味分からないから。…どうしちゃったの?」



金森君は何も知らない顔して窓の外の野球観戦をしていた。


「……可笑しいよ?妃稲、私にも言えないこと?」



…うん。


「誰にも言えない。…私の過去なんて知らなくていいの。」


「は…?」


「どうせあざ笑って聞いてるだけなんだから、みんな。…ははっ。」



私の止まらない口はまだなお動いた。



「心配するふりして面白がって――――」



パンッ!!!!



最後まで言い終わらないうちに頬に走った鋭い痛み。