【完】恋愛コンプレックス




「えっと、妃稲ちゃん?よろしくね…?」



椅子を引きながら私に笑いかけた。



「なんで…私の名前知ってるの?」


「…っ。」



先生は名字は言ったけど名前は言わなかった。



動揺を見せる。


髪の毛をかきあげる仕草も…似ていた。


何かが可笑しい。


「あは。何となくだよ。それより二人三脚ペアなんだよね。よろしくね…」


「…うん。」



私はそれだけしか言えなかった。


怖い。



本当の裕哉みたいで………。