「私、めまいがしてきた。稜様としゃべったの?」
その子はまた可愛い顔をゆがめて声を張った。
「うん、でも、別に親しいってわけじゃないよ?」
そう、毎日迎えに来てくれるけど、そいえばあの夏の日キスしたけど、
それはきっと一時の気の迷いで少し時がたてば私のことなんか忘れると思うよ?
ズキン
少し胸が痛んだのはきっと気のせい。
「そう、そうよね?私以外に稜様と親しい人なんていてたまるもんですか。」
「そうだよ、舞以外にそんな子いないよ。舞は可愛くて特別だからきっと稜様も舞のこと特別に思ってるよ。」
「あははっは。」
舞ちゃんの笑い声が教室に響く。
ズキン
どれほど可愛くても特別でもきっとあなたには稜は振り向かない。
そんな安値な人じゃないよ?
「妃稲、席着こう?」
「うん。」
京香の冷静な声でわれに返った。
なんか黒い感情が心の中を支配していたけど....気のせいだよ、ね?



