「お母さん、それ何?」
綾に送って家についてリビングに入るとお母さんが高級そうな和紙に包まれた筒を目にあてていた。
「あら、遅かったのね。お帰りなさい。これはね万華鏡よ?ほら、」
お母さんから渡された筒は意外にも軽くてカラカラと音が鳴った。
「その穴を目に当ててみなさい。」
「こう?………あ!」
私が移した景色は色とりどりで宝石みたいに見えた。
「少しずつ筒をまわすと絵が変わるわよ…」
綺麗な宝石がまた違う宝石と結晶を作って世界を染めていく。
でも、なぜだろう。
直ぐに変わりゆく景色に切なさを覚えた。
人の気持ちも万華鏡みたいに変わりゆくのかな…?
【万華鏡】