【完】恋愛コンプレックス




「ん、美味いな…で、結局何味だと思う?」



「切り替え、早すぎ…クス。」


「…お?そうか?」



穏やかだった。


「ここ、舐めてみ?…俺が舐めたところ。」


「…っ!?そ、んなことできるわけないでしょ…。」


「ははっ、真っ赤だよ?」



~うるさい。


絶対顔が赤いのは、綾のせい。



「ほら!出来ないの?………しょうがないな。」


風が吹いた。



目の前の景色が一瞬暗くなった。




「…っん。…はぁ。」


「ははっ、何味でしょう?」



ニヤリと笑う綾の顔もどこか色づいていた。



「……桃。」



甘い桃の味がしたんだ。