【完】恋愛コンプレックス



教室に入ると既に早くから登校していた人たちでにぎわっていた。


私の席までそくささと足を運ぶ京香についていった。



「はい、じゃあここに座って~。京香様の[野上稜について知ろう講座]一回300円ねっ。」


「え...!?もお、調子いいんだからぁ。」


ふっと笑って向かいの席に腰を下ろす。


「ふう、じゃあ。さっそくだけど...。」



京香は自分のもっている情報を話したくてたまらないかのようにバシンと机をたたいた。


びくっと震える私の肩。


「まあ、稜が二重人格で女の敵ってことは知ってるわよね?」


こくりと縦に首を動かす。


朝、お母さんに見せた顔と私を馬鹿にするかのように作られた笑み。



鈍感な私にでも分かった。


二重人格が自然にできてしまうんだ。




結構厄介な性格なんだな...。