近い、近いから。 ぎゅっと目を瞑ったその時、 「お前、今日はマスクしてないな。」 え....? 慌てて、自分の口元に手をやる。 てにそっと触れた小さな唇。 「どうしよ、家戻る!」 「いって.....。おい!」 野上稜を突き飛ばした。 そのまままだあまり離れていない家に戻ろうとする。 するだけだった.....。 「手、離して。」 「いやだ。」 野上稜の神も賞賛するであろう反射神経で捕まってしまったのだった。