京香side


「ばいばーい、ありがとうね。」


「いいえー。」



家の外で妃稲を見送って小さくなり背中につぶやいた。



「それは、恋かもね。」


あの妃稲がドキドキか...。



本人は自覚しているんだろうか?



あれだけ可愛ければ恋の一回はあるはずだけど。


...私が教えることじゃないか。

自分で気づいてね。


妃稲が転校してきたのは4月の半ば。


ちょうぢ残り桜が散っていた。

可愛くて、綺麗で優しくて純粋で...。


なのに、どこに触れても傷だらけ。


壊れてしまいそう。


私はそんな妃稲に近づいた。