「そいえば、妃稲。今日昼休み帰ってくるの遅かったね。」
「あー。...っ。な、なんでもないよ。」
頭に浮かんだのはもちろん野上稜の顔。
綺麗で、線が細くてモデルみたいに綺麗過ぎる顔。
必死で、隠そうとする私を京香が眉をよせていぶかしげな顔で見てきた。
やばい...?
京香が何か感ずいてるよ。
「へー。何かありそうね。私に隠し事なんていい度胸じゃない?」
「ひっ....。」
息をのんだ。
京香様、怖すぎますって。
結局私は今日あったことを言う羽目になった。
そして、私の話が進むにつれて京香の眉のしわが濃くなっていく。
「野上稜ね。で、あんたは逃げてきたわけだ?」
「うん、だって、京香がかかわるなって言ったし。でも...。」
「でも...?」
私はこのことを京香に言っていいのだろうか。
親友だしね?
でも、私でもよくわかんない。



