俺は、晴香に別れを告げると走った。



待つべき人のもとへ。



でも、案外そいつは近くにいやがった。




曲がり角から聞き覚えのある声がした。




「俺にしなよ...。俺だったら、妃稲ちゃんにそんな悲しい顔させないよ。」




「春斗、くん...」




おいおい。


まさかの光景が目の前に広がっていた。



春斗が妃稲を抱きしめていた。



ああ、親友の春斗にでも黒い感情がわきあがる。



「そんなことさせねえよ、妃稲は俺のもんだよ。」



「稜...!」



妃稲は一瞬緩んだ春斗の腕から開放された。