「いいよ、稜は大人になったんだね。前にちゃんと進んでる。...私はまだずっと子供のまんまだ。あはは。」
嬉しくないのに無理して笑うところも妃稲にそくりだ。
でも、晴香。
今は、お前を抱きしめてやることはできない。
妃稲がいるから...
でもこれだけ言うよ。
「大丈夫、お前ももう歩き出せる。こんないい女男がほっておくわけねえじゃん!」
抱きしめる代わりに頭に手を置いた。
「ずるいよ...。でも、うん。私、進むよ。」
「応援してる。」
「ありがとう、行きなよ。彼女、待ってるよ?」
俺はゆっくりと頷いた。
晴香のそのときの目はしっかりと色づいていたからきっと前に進める。
俺は、俺の道を...
お前は、お前の道を進んで....



