妃稲side
「私、コンプレックスの塊だから。」
自分の声がはれた青空にむなしく響いた。
うん、分かってるけど、自分で言って悲しくなる。
「意味わかんねぇ。もしかして、そのマスクと何か関係あるの?」
やめて、やめて、触れてこないで。
私は、笑っていればいいの。
苦しみも痛みも何も知らないように笑っていれば...。
「あな、たに。関係な、い...。」
途切れ途切れできっとぎこちない笑顔になりながら言葉をつないだ。
みんな、分かろうと、触ろうとしてくる。
私の傷跡に...。
共感できるわけでもないくせに。
私が苦しそうなのを分かってか話題を変えてきた。
「あなたじゃなくて、稜。野上。」
「野上...?」
いつかの京香の声が頭の中に響いた。
「野上稜って、二重人格でクールでモテモテで女の敵なんだよ。」
って....。



