「大切な人を守れたんだからな。」 そこまで言うとほっぺたの手を離した。 「どれだけ裕哉に言われてもわかってないんだな…。」 「…っ、」 裕哉に散々言われた。 前に少しは進めるようになった。 私は裕哉の分まで幸せになろうと思った。 「……うん。ごめん。……」 綾は私の手を引いて歩き出した。 「……お前のマスクの理由がそれだけなら外せよ。そんな名神ばかばかしい。」 クルッと振り返った時にはもう外せていた。 「ありがとう。」