そこまで言って顔をあげるとほっぺたに痛みが走った。 「ひらひ(いたい)」 むにむにとほっぺたをつままれて上手く喋ることができない。 「……不幸になんてしてないから。」 「??」 したよ。 私が裕哉と付き合わなかったら裕哉は死ななかった。 「裕哉は不幸になんてなってない。」 廊下に静かに響き渡った。 「寧ろ裕哉は幸せだった。そうじゃなきゃおかしい。…好きな奴にやっとの思いでつき合えて、」 綾は裕哉の言葉を代わりに言っているようだった。