回廊館の殺人

「あの、もしかして河上さんって春の小談社ミステリー大賞で入選を受賞した河上さんですか?」

宮下が河上に質問する。
小談社ミステリー大賞とはアマチュアを対象としてミステリー小説を募集するもので、毎年春と 秋に開催され、プロへの登竜門とされている。

「そうだけど?」

河上はそれだけ答える。

「やっぱり!
『山彦山荘の殺人』とても面白かったです!!」

宮下が興奮しながら話す。

「そう、ありがとう。」

河上は相変わらずそっけなく返事をした。

「次は男性陣だね。
四号室は一応区切りってことで飛ばして、五号室が僕だね。
ま、今さらだけど、文学部三年の佐久間 直樹。
一応、ミステリーサークルの部長やってます。
ま、なんか分かんないことがあったら聞いてください。」

佐久間は自己紹介を終えると、島村から自分の鍵を受け取った。