バッターボックスに入った宏大の目は鋭く、
気迫に満ち溢れている。


それは相手の投手も同じ、
グランドでは気迫と気迫の勝負が
繰り広げられていた。


カキーン!!


『ファール、ファール!!
佐久間くんの打った打球は
三塁線を襲ったが、わずかに切れました。
これでカウントは、
スリーボールツーストライク、
佐久間くんも追い込まれました。』



あと一球・・・


宏大・・・ 


私は宏大の姿を見れなかった。



この日のためにずっと努力をして来た
宏大を私は知ってる。


毎日毎日、泥だらけになりながら
頑張って来た宏大を、
私は知ってる・・・



宏大・・・


私は俯きながら
ただ祈るように両手を合わせた。