でも…



いざ柵を超えると怖い。



けど この世界で生きる方がもっと怖い。



あと1歩。



あと1歩足を踏み出したら私は死ぬ。


震える足を 少しずつ動かす。



やっと、楽になれる。




踏み出そうとしたとき―――……

「死ぬの?」



「………え?」


振り返ると車椅子に乗った青年がいた。



「死ぬのも生きるのも、君の勝手だと思う。
けど、死ぬくらいなら…俺と生きようよ。」




「意味…わかんない」


「うん…とりあえず、おいでよ」


「嫌だよ。私は死ぬ」



「…俺が死ぬまで死なないで」


「は…?」


「俺の友達になってよ」


整った顔立ちの青年は優しく私に微笑んだ。