遥斗はハッと顔を上げた。

「ありま…せん…」
そう呟くと、臆病な顔に微かな笑みが浮かんだ。

やはり、間違ってなかった。

あのとき、遥斗たちは手紙とキーホルダーを確かに埋めた。

しかし、キーホルダーは埋めたのは…"遥斗"だけであったのだ。

玲奈は手紙以外、何も埋めてはいなかったのだ。

それは遠くから見ていた者には、そこまで確認するのは難しいことだった。

結果としてそうだったが、万が一、それすらも奴らに把握されていたなら、Fからの返答も"ありません"となっていたはず。

この質問はFからの返答で、ほとんど決まっていた。

それでもDからの返答が"キーホルダー"だった場合、そのときはどちらかを勘で選ぶしかなかった。

又、両者から"ありません"と返答があったなら、そのときも勘で選ぶしかなかった。

だが奴らはそこまで把握はできず、自分しか入れていないキーホルダーを、2人とも入れたと勘違いした。

それが奴らが犯した最大のミス。

遥斗は最後の指定人物解答権利を使用した。

もちろん、遥斗が選択したのは…"D"。