無音の空間の中、遥斗は考えていた。
玲奈にしか答えられない、奴らにはわからない、用意されていない質問を。
何かあるはずだ、幼少の頃の思い出を遡れば。
12歳の頃、修学旅行の先は。
6歳の頃、家族で旅行に行ったとき、玲奈の家族に渡したお土産は。
14歳の頃、玲奈の家で飼っていた犬の名前は。
こちらの家族構成、又は玲奈の家族構成は。
いくら質問を考えても、全て把握されているのではないかと、考えれば考えるほど不安になる。
他にも思い付くものの、不安は拭えない。
何かを思い出したのか、遥斗は目を大きく開いた。
「アレなら…」
遥斗は4歳の頃に流行った戦隊ヒーローの遊びを思い出した。
それを質問としてぶつける。
質問は、こうだ。
"私が4歳の頃、戦隊ヒーロー遊びをしていたときの戦隊カラーは"
ちなみに遥斗の色は"青"。
さすがにこの質問の答えは用意されていないはず。
しかし、不安はあった。
玲奈がこの質問に答えられるのか。
遥斗の記憶が正しければ、玲奈は女の子たちと室内でおままごとしていたはず。
だとしたら、この質問は厳しいか。
それを知っててもなお、これ以上の質問は思い付かない。
一か八か、遥斗はモニターをタッチしようとしたとき、その手が止まった。
「いや…待てよ……」
遥斗は自分がした質問、そして相手からきた質問を思い出した。
名前、生年月日、それらなら調べることぐらい簡単なんじゃ。
先ほどといい、今の現状といい、こんなことができる奴らなら、それぐらい簡単にできるはずだ。
もしかしたら、まんまと引っ掛かっているのでは。
遥斗は勝手にこちらの情報か漏れていると考えたが、実際は簡単な個人情報。
つまり、名前、生年月日、血液型、家族構成、出身地、出身学校など。
それぐらいの情報量なのでは。
だったら、"買ってきたお土産は"。
この質問で十分いけるのでは。
遥斗は静かに頷き、モニターをタッチした。


