遥斗はマイクの横にあるボタンを押した。
通じているのかわからなかったが、それを確認する術もなく、遥斗は質問を始めた。
「えー…Bの方に質問します。貴方の生年月日を教えてください」
遥斗はボタンから手を離した。
そのとき気がついた、どうやって質問の答えが返ってくるのか。
先ほどのスピーカーからなのか、だとしたら声だけでも判断の有無が可能になる。
ここまで手の込んだことをする奴らが、そんなミスをするのか。
そんなことを考えていると、スピーカーから、質問の答えが返ってきた。
「4月16日です」
その答えを聞き、遥斗は驚いた。
その理由は2つ。
1つは玲奈の生年月日と同じこと。
そしてもう1つは…玲奈の声だったこと。
「ま、まさか…」
そんなミスを奴らがするのか、驚きで声が漏れる。
でも現に生年月日も一緒、声も玲奈で間違いない。
こんな簡単にことが済むなら、先ほどのアレは何だったのか。
必死になりながらもゴールを目指し、追いかけられ、騙されながらもクリアしたのは。
ことがうまく進みすぎている、そんな疑心暗鬼が遥斗に生まれる。
しかし、人間というものは楽な道に進もうとする生き物。
遥斗はそんな疑問が生まれながらも、自分のアルファベットをタッチした。
そして…ボタンを押した。
「B…」
自分の直感が、今回は偶然的中したに違いない。
そうに違いない…。
遥斗は自分の直感を信じたわけではない、それを願ってるだけなのだ。
しかし、遥斗の疑問は間違いではなかった。
答えは…Bではなかったのだ。
遥斗が答えられる権利は、残り…あと2回。


