遥斗は掠れる声で、震えながら言った。
「ふ…ふざけんなよ……」
残り数十秒、鬼も遥斗を捕まえようと向かってきている。
目の前にはあるはずのゴールがない。
もう成す術がないのだ、絶体絶命。
まさか……この地図も偽物だったのか。
遥斗はもう諦めて、地面に膝をついた。
もうダメだ、俺はもう終わったのだ、遥斗は俯いて笑った。
「ハハハ……ハハハハハ……」
その後ろで、女の声が。
「は、遥斗!?」
振り向くと、そこには幼なじみの矢神 玲奈(18)がいた。
玲奈の後ろには、5体もの鬼が追ってきている。
何故、玲奈がこんなところに。
玲奈は遥斗に近づき、助けを求めた。
「な、何で遥斗が!?本物!?ねぇ!お願い!助けて!」
最後の最後に幻覚でも見ているのか、遥斗はそう思いながら立ち上がった。
「俺も遂に幻覚まで見えてきたか。ハハハ……もう終わりだよ。最後まで騙されてよ……ハハハ……」
力なく壁に寄り掛かった。
目の前には、玲奈。
もう近くには、計7体の鬼。
遥斗は何故かわからないが、きっと死ぬんだな、もうすぐに、と感じた。
まさにそのときだった。
微かだが、壁から風を感じたのだ。


