「真奈美は恋愛に疎いんだと思うよ。」
「・・・うん。」
「だから、これからも付き合えとは言わないけど、もう一度ちゃんと話してみて?」
俺はこの時
美和は本当にいい奴だって思った。
「お前、優しいな。」
「え?」
「だって、自分の男寝とられたのに・・・」
「まぁ、ショックだったけどね。」
そう言って
美和は悲しそうに笑った。
「誘ったのも真奈美からだったみたい。」
「うん。」
美和は
顔を上げると、俺に笑いかけた。
「でも、やっぱ友達だもん!」
俺は思った。
美和は最高の女だって。
そして
俺は学校の帰りに
真奈美の家に寄った。
真奈美とちゃんと向き合うために。
「別れてほしいって言いに来たの?」
俺の顔を見て
そう言った真奈美は
酷く悲しそうな顔をしていた。
「違う。もう一回ちゃんと話そうと思って。」
「・・・あがって。」
真奈美は
俺を自分の部屋に通すと
俺にしがみついて泣いた。
「お願い・・・、好きなのっ!本当に好きなの!」
「うん。真奈美、落ち着いて?ちゃんと話そう。」
「分かった・・・。」
俺は
なぜ他の男と寝たのか
なぜ俺と付き合う時に条件を出したのか
なぜこんなになるまで俺を追い詰めたのか
その一つ一つを
出来るだけ優しく聞いた。
「どうやって接したらいいのか分からなかったの。」
「うん。」
「あたし、中学の時はすごく静かで、付き合った事も無かったし、告白だってされた事なかった。」
今の真奈美からは
想像がつかない話だった。

