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「あー顔ひきつる、しにそう」


図書室のはしの机。


目の前には顔を突っ伏している相沢がいる。


「なんだよ、急によびだして」


「べつに。顔がつかれたから、休憩」


「は?」


「伊藤の前だと、ずっとかわいい笑顔してなきゃだめなの」


乙女心がわからない僕には理解できないが、そういうものらしい。


「あんたの前では顔も性格も休憩できるから楽だよ」


性格はともかく、休憩しててもしてなくても相沢の顔はいつも綺麗だ。


無理に笑顔なんてつくらなくていいと思う。