『わかった!おじいちゃんげんきになるように良い子にしてる!』
佐奈羽は良い子だ。明るくて可愛らしい。こんな僕から生まれたとは思えないくらいだった。
「ありがとね。じゃまた電話するから」
『うん!おやすみなさい!』ツーッ、ツーッ…電話が切れ静かになると僕は現実に戻る。故郷に帰って来ると必ず昔の『僕』に戻ってしまう。
「僕は…」
それが嫌で仕方なかった。
数日前実家から電話がかかってきた。電話は母で父が事故で入院したと言うのだ。旦那にも娘にも詳しく説明をせずただ「父が大変だ」と言って帰って来た。