淡く温かな光に包まれて 本の欠片の起こす渦の真ん中に シェリアはいた。


それは 決して風の仕業なんかじゃなかった。


「…っ!? なんなの……!?」


初めは服を揺らすくらいだった風も 気が付けば 髪を巻き上げるほどに大きくなった。


そして 欠片たちはそのままシェリアを包み大きな音をたて 一層早く回りだす。


「………こんなの夢よ!!シェリア 早く目を覚ますの!!こんな夢 早く覚めればいいのよ!!」


すでにパニックに陥っているシェリアに その主が ゆっくりと低い声で語りかけた。


「……シェリア・ウォール…。ようこそ デス・ヘヴェンへ……。」


「……っ…何よ……これ………」


欠片と光に包まれて シェリアはゆっくり
そこから姿を消した。




………さ……さむっ…


いくら冬だからといっても寝室がこんなにも寒いんじゃ ゆっくり寝られる訳ないわ……?


………ん?


背中に感じるのは ふっかふかのベッドの温かさではなく かたく冷たい石のようなものだった。


「……っあ!!!」


やっと意識を覚醒させてシェリアはぐっと息を飲んだ。


「…何も……ない………?」


本をバラバラにしてしまい その本の欠片が起こした渦と光に包まれて 私は意識を手放した。


そして 目を覚ましたのはここ 真っ暗で何も見えない 黒だけの世界。


「……どこなの…?嫌 夢よこんなの。 大丈夫シェリア。いつか必ず 覚めてくれるから…。」