君とは違う私の世界。





ロアンは徐に服を着直して ゆっくりと私の背中をさすった。


だけど 手は冷たくて固いから 温もりは感じられなかった。


「ジェリロリックは キーキーパーの元で見つかったんだ。 城の地下にあるデス・ヘヴェンの玄関だ。 ここを出ようとしていてな 左の胸が慌ただしく鳴っていた。 どくっどくっどくっ…って。 アイツは 街のなかで見つけた適当な人間の魂を手に入れたんだよ。」


なんて残虐な話だろう。


みんなみんな 可哀想だ。


魂を欲する罪人に 魂を奪われる死人。


どちらも魂に飢えていて そのせいで酷い悲しみの中にいる。


「どうやって魂を奪うの…? 奪われたらどうなるの? 奪ったら何になるの?」


焦る内心を隠すかのように 冷静にきいた。


「…引きちぎればいいのさ。 結晶化した魂も体も固いから 簡単に離れる。」


「…っ……。」


吐き気に襲われながら しっかりと耳を傾けた。


「魂を奪われたやつは星にはなれない。 1年の間に魂が戻らなければ 体は宇宙のチリとなり消える。 二度と生き返ることはない。 逆に魂を手に入れれば また生身の人間として生き返ることができる。」


背中をさするロアンの手が止まった。


「…みんな 生き返ることが目的なのかもしれないな。」


ぐっと体をよじり ロアンの顔をみた。


あまりに悲しげな遠い瞳に ゆっくりと手がロアンの頬に伸びた。


「……温かい…。」


あなたは……とっても寂しいのね。