「悲鳴と言うのは 恐怖だ。 死んでいたら恐怖がないとでも言うのか?」
「いいゃ 恐怖はあるさ。」
じいさんは歩みを止めた。
「…わしらにとって1番の恐怖とはなんじゃ。」
俺も歩くのをやめて じいさんを見る。
「……俺は あいつが怖い。 ジェリロリックが堪らなく怖い。 だけどそれ以上に 魂を手放すことが怖い。」
後に続いていた番人らが うんうんと頷いた。
「ならば 悲鳴の訳が分かりそうじゃな。」
じいさんは扉に手をかけた。
番人らは身構える。
俺は カタカタとなる指と指を握りしめ最後にじいさんに言った。
「だけどやっぱ俺は英雄だ。」
笑って見せてこぼれたじいさんや番人らの笑みは 開かれた扉からもれた光で眩しく照らされた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私はぎゅっと両手を握り締め合いながら ロアンから決して目を反らさずに 聞き落とすことなく必死に話についていった。
「ジェリロリックは いなかったんだ。」
「……え いなかったの?」
出されたドリンクの色が 溶けた氷のせいで薄くなったいた。
「そっから街中に知らせて アイツを必死に探した。 だけど結局見つかった時には手遅れで 1番恐れていたことがその時現実になったんだ。」
ロアンたちが恐れていたこととはきっと 魂を奪われてしまうこと。
その時 ロアンがいきなり服を脱ぎ 私にその胸元にキラキラ光るものを見せた。

