君とは違う私の世界。





長い羽織をずりながら長い階段を降りてきたじいさんは また老けたように見えた。


後ろから番人がさりげなく手を添えて その様子から他の番人らも じいさんの体調が良くないのは分かるみたいだ。


1階のフロアは 特になにもなかった。


何か甘いものを作るための大きなキッチンや みんなで祝い事やパーティーをするための広間…など ほとんどがイベントで使われるような部屋ばかりだ。


ジェリロリックをなぜそんな部屋に拘束したのか 俺はその考えが容易だったと思った。


じいさんは何の躊躇いもなく 特に何をするわけでもなく ただ真っ直ぐにジェリロリックのいるパーティー用の広間に向かった。


「じいさん!!」


じいさんに向かって叫んだ。


ゆっくりと振り返り しばらく俺の姿を探してから たくさんの番人の中から俺を見つけ出した。


「ロアン おったのかね。」


「悪かったなオーラがなくて。」


「何もそんなことは言っとらんよ。」


「なぁじいさん…」


カツカツと音をたてながら ゆっくりじいさんに近付く。


「俺にも同行させてくれるよな…?」


同調させる言い方をした。


だって 先に俺の興味を引かせたのはじいさんだ。


今更引っ込んでろなんて冗談じゃない。


「当たり前だわ馬鹿者。 よぅくワシの勇者を目に焼きつけておけやぃ。」


じいさんの隣に並ぶ。


「よろこんで。」


じいさんは柔らかい笑みを見せてから 再び歩み出した。