「なぁ 何があったんだ?」
近くの番人をぐいっと振り向かせ 厳つい顔で聞いた。
「あっ いやその 私らもよく分からないのですが 悲鳴は確実にジェリロリックを拘束している部屋からでして…」
ジェリロリック……
俺の今までの勢いは何だったんだ…。
ジェリロリックと聞くだけで 妙な寒気が襲ってきて立ち向かう気が薄れていく。
ジェリロリックは何だか 人間の欲望の象徴のようで 放つオーラが怖くて何だか嫌だ。
さっきはあんなに罪を悔いていたように見えていたはずなのに なぜだかそれを信じられない気がしてきた。
そのとき ざわざわとしていたフロア全体が静まり返った。
「事の詳細は聞いておるよ。」
じいさんだ。
あんなに疲れてベッドに横たわっていたのに そんなの微塵も感じさせない足取りで低く太い声を響かせた。
俺が降りてきた時よりずっと厳粛な空気になる。
俺もこんな風にうやまれるのだろうか。
小さい頃から 絵本に出てくる偉そうに髭を撫でながら歩く王様みたいになるのが俺だと思ってきた。

