部屋に戻ると しーんと静まり返るなかに 温かな笑い声がよく聞こえた。
城から見る景色は相変わらず真っ白で 暗闇も橙の夕暮れも やはりそこには存在しなかった。
たまに 自分は実は生きているんじゃないかという錯覚にとらわれる。
様々な感情を思い出すたびに 鼓動がまた聞こえてきそうで 温かな手が戻ってきそうで。
生きて戻りたい。
俺にだってそう思うときがある。
いや きっとみんなあるんだよ。
ここには犯罪なんかないし 法律だってない。
果てしなく続いているわけではないし いつか必ず終わりがくる。
それは運命であり 決して逆らえない定めである。
俺らはまだその運命の上にちゃんといられる。
まだ星ではない。
死んでいるけど死んでない そんな言葉が正にぴったりだ。
だから俺らは期待や希望を持ってしまうのかもしれない。
こんな 生きていることを愛しく感じさせる場があるからジェリロリックみたいに 生き返り再び歩みだしたいと願ってしまうのかもしれない。
だけど それを越えたところにデス・ヘヴェンの存在理由があると俺は思う。
自殺者なんかは違うけど もし俺みたいに不治の病や交通事故 もしくは殺人なんかで命を落とした人たちの 果たせなかった想い 果たしたい願いなんかを叶えさせるためにあるんじゃないか。
だとしたら ジェリロリックみたいな人殺しは 正にデス・ヘヴェンの存在理由を作っているものとなるのではないか。

