ロジェルタは「連れて行け。」と低い声で言った。
ジェリロリックは 何の抵抗もせずに番人に従い足を運んだ。
だが きっと見間違いじゃない 確かに俺は見た。
あいつは ジェリロリックは俺をしっかりと視界に捉えながら 焦点におきながら ニヤリとやってやったように笑った。
俺はまだバカだった。
俺が悪かったなという反省の笑みに見えたんだから。
ホントに 後悔しても遅いけどさ。
ジェリロリックが連れていかれてから ロジェルタの引き締まった顔が急に綻んで やんわりとした温かな笑みを見せた。
どうやら えらく老けたようだ。
「じいさん なかなかだったよ。」
フラフラとベッドへ戻ろうとするロジェルタに駆け寄りながら言った。
「ははは これもわしの仕事じゃからな。」
酷く疲れたようだ。
「今日はもう休もう。 お前は自分の部屋に戻るがいい。」
「あぁ そうするよ。」
俺も ここにはいない方がいい気がした。
だから いつもみたいに甘いケーキをねだったりしないで 素直に部屋に戻ったんだ。

