あのこになりたい

シュンの家のインターホンを押すのは初めてだ。



「遅い」


シュンは私の顔を見て、泣いてることに気づいた。



「どうした…?」


シュンが心配そうな顔で覗き込むから、私は泣きながら首を振った。



シュンは私の手を繋いで庭に連れて行った。



「すごい…」



レジャーシートの上にはどっさりお菓子が置かれていた。



「花火…見よう」



シュンに渡されたペットボトルで目を冷やしながら花火を見ていた。



「きれいだね…」


私は涙でにじんだ花火を見ながら言った。



シュンは…


兄にこんな酷いこと言ったことないだろうなぁ。



若菜さんとのこと黙って見守ってたのかな…



私みたいにこんな卑怯なやり方で、友達を傷つけたりしなかっただろう…



シュンの手が私の頬に触れた。



シュンは優しく涙を拭ってくれた。