あのこになりたい

「へ、へぇ…」



普通にしなきゃ…


傷ついてなんか…ないよ。


大丈夫…



自分に言い聞かせた。



「昨日…幸輔から告られたの」


綾は幸せに満ちた笑顔で言った。



なんで…綾なの。



他にいくらでもいるじゃない。



私は綾の話を聞きたくないのに、笑いながら聞いてる。



「幸輔って中学の時、香澄ちゃんと付き合ってたの知ってた？」


さすがにそれには驚いて動揺した。



「え…知らなかった」


綾も苦笑いをした。



幸輔は彼女いたんだね…


どっちにしても叶わぬ恋だったわけだ。



「香澄ちゃん今、高谷先輩って人と付き合ってるんだけどね…。なんか寂しいだけだったらどうしようとか思っちゃって」


控え目な綾の態度が逆に面白くなかった。



むしろ調子に乗ってくれたらもっと文句言えるのに。


「大丈夫だよ…気持ちないのに付き合うような人じゃないよ、幸輔は…」


だからこんなこと私に言わせないでよ。